この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第5章 §5.5.7 ★★★ 位相の対称性を局所化するという1つの要請が、最小結合・光子の質量 0・電荷の保存と Maxwell 方程式の両立を決め、量子化すると陽電子と Coulomb 力が出る
この章では、自由な Dirac 場の大域的な位相の対称性 を、時空の各点で独立にとってよいと要請した。微分の項から が残り、それを打ち消すために と変わる場を Noether の流れに結合させると、微分は共変微分 に置き換わった。ゲージ不変で次元4以下の項を集めた が QED で、光子の質量項はこの時点で禁じられた。場の Euler–Lagrange 方程式は共変微分つきの Dirac 方程式と を与え、源 は大域的な対称性の Noether の流れで、その保存は Dirac 方程式から自動的に従い、第2部第8章の両立の条件を満たした。
Dirac 場を量子化すると Hamiltonian は の形になり、交換関係では下に有界でなかった。反交換関係を課すと、 の粒子は正のエネルギーと逆の電荷を持つ陽電子になり、排他原理が同時に従った。電磁場の側では、 が共役な運動量を持たない拘束の変数で、Gauss の法則を解くと Hamiltonian に瞬間的な Coulomb の項が残った。同符号の電荷はこの項で反発し、質量のあるスカラー場の交換では引き合う(湯川のポテンシャル)。この違いは、 の勾配の項が に正の符号で入ることによる。動く電荷どうしは横の光子を交換し、その寄与は の大きさである。最後に、共変微分の交換子が場の強さ で、小さいループを一周した位相が磁束になることを見た。位相の群を SU(2) に広げると に が加わり、ゲージ場が自分自身と相互作用する Yang–Mills の理論になる。
次の第5部第7章では、この章の の相互作用の項を経路積分で摂動展開し、図 5.5.1 の頂点を Feynman 則にする。ループの補正によって電子の磁気モーメントは から の割合だけずれる1J. Schwinger (1948), Physical Review 73, 416–417.下の脚注へ。その計算(頂点の1ループ補正)はこの巻では行わない。ループに現れる発散を扱う一般の手順は第5部第8章から第5部第10章で述べる。ゲージ場に質量が生じる超伝導の場合は第5部第6章で扱う。
この章の道具
- 局所的な位相変換 、、共変微分 で 。
- 。相互作用 。質量項 は禁止。
- 運動方程式 、、 は Dirac 方程式から従う。
- 、反交換関係で 、(正規順序)。
- Coulomb ゲージ:、。スカラー場の交換は 。
- 横の光子の核 、Coulomb に対して 。
- 、閉曲線の位相 。非可換:、。
- SI:、。
総合問題 荷電スカラー場の最小結合と、輪を貫く磁束 ★★★
オリジナル複素スカラー場 (電荷 、質量 )に局所的な位相の対称性を課した
を考える()。(4)(5) では SI に戻し、電荷 、質量 の粒子(スピンを無視した電子)を考え、、 とする。
- (1) がゲージ変換 , で不変であることを示し、 を のべきで展開して の1次と2次の項を書け。(使う道具:この章の5.5.1節、第5部第4章の )
- (2) の Euler–Lagrange 方程式が の形になることを示し、 を求めよ。(使う道具:この章の5.5.2節、第2部第6章)
- (3) (2) の のうち に比例する部分を書き、Dirac 場の との違いを述べよ。非相対論の Hamiltonian (5.5.30) のどの項に対応するか。(使う道具:この章の5.5.6節)
- (4) 非相対論極限で、この粒子が半径 の輪の上に閉じ込められ、輪の中心を磁束 の細いソレノイドが貫く(輪の上で )。第4部第6章の例題 4.6.4 は Schrödinger 方程式から始めて同じ輪を扱った。ここでは (1) の の共変微分から出発して、エネルギー固有値を ()の形に書き、 と を求めよ。 の数値はその例題の値と比べよ。(使う道具:この章の5.5.5節の式 (5.5.24)、第2部第8章・第4部第6章の Aharonov–Bohm の位相)
- (5) 電子2個が対になった、電荷 ・質量 の粒子が同じ輪にあるとする。 と を求め、スペクトルの周期が になることを示せ。基底状態の電流 の大きさの最大値は、電子1個のとき(第4部第6章の例題 (3))と比べてどうなるか。(使う道具:(4)、第5部第6章への伏線)
解答
(1) (式 (5.5.6) と同じ計算)なので で、第1項の位相は打ち消す。 と も不変である。展開すると から
の1次の項は Dirac 場と同じく「流れ×」の頂点で、2次の項は光子2本の頂点(図 5.5.1 右)である。
(2) Maxwell の項は を与えるので、Euler–Lagrange 方程式は 、すなわち、 になる。(1) の展開を で微分して
では 第5部第4章の位相の流れの 倍に一致する。
(3) に比例する部分は である。Dirac 場の は を含まないが、スカラー場の流れは を含む。原因は、スカラー場の が を2回含む(微分の2次式)のに対し、Dirac 場の は を1回しか含まないことにある。流れを でなく で書くとゲージ不変な形 になる。非相対論では を展開した の項に対応し、電流の演算子が になることの相対論版である。
(4) 輪の上の角度を とし、 を輪に沿う向きに とする(、輪の上で )。(1) の の空間成分は SI で になり、非相対論極限(第5部第4章)で 、 となる。固有関数 で
を だけ変えると の付け替えで固有値の集合が元に戻るので、スペクトルは周期 で変わる。これは一周の位相 (5.5.24) が ごとに1に戻ることの表れで、輪の上で でもエネルギーは磁束に依存する。 は第4部第6章の例題 4.6.4 の と同じもので、 では 、 である(その例題の (1)(2))。場の理論から出発しても、共変微分が の置き換えを与えるので、同じ結果になる。
(5) (4) で , と置き換えると
で、スペクトルの周期は に半減する。 では である。基底状態は を最小にする で、 では 。 の大きさは の手前で最大値 をとる。 なので、最大の電流は電子1個のときの (第4部第6章の例題 (3))と変わらない。電荷が倍になって磁束への感度が倍になる分と、質量が倍になって準位の間隔が半分になる分が打ち消し合う。超伝導体の輪で観測される磁束の量子は で、凝縮している粒子の電荷が であることを示しており、第5部第6章で扱う。
1 J. Schwinger (1948), Physical Review 73, 416–417.
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