開放系・量子情報・量子光学:密度行列と位相空間
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第11部 第2章 §11.2.3 ★★★ 混合状態と環境の問題は密度行列で、光の Gauss 型の状態は位相空間の共分散で少ない手数で解けることを、スクイーズド光の損失で比べる
密度行列が最短になる問題
状態ベクトル1本で書けない状態は、不完全な情報・もつれた系の一部分・熱平衡の3つの事情から現れる(第4部第1章)。これらを扱う問題では、密度行列を基本の対象にすると手数が最も少ない。部分系の状態は部分トレースで1回で出て、浄化と Schmidt 分解で全体の純粋状態へ戻ることができる(第4部第2章)。同じ を作るアンサンブルが無数にあり、そのどれを選んでも予言が変わらないことが、遠く離れた相手へ信号を送れないことの根拠になる(第4部第3章)。環境を捨てた時間発展は Kraus 表示で、環境の記憶が短ければ Lindblad 方程式で書け、共通例題②に緩和を入れた ・ がそこから出る(第4部第5章)。量子情報の問題(もつれの量・量子チャネルの容量・状態の識別)は、どれも密度行列とその上の写像を言葉にしているので、第4部の構成がそのまま入口になる(相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部第1章)。
密度行列の苦手は2つある。1つは大きさで、例題 11.2.1 のとおり次元の2乗の数の成分を持つ。もう1つは Lindblad 方程式の前提で、環境との結合が強いとき、環境に記憶があるとき、初めに系と環境が相関しているときには半群の形に入らない。このときは経路積分と合流した Feynman–Vernon の影響汎関数へ移る(第4部第6章)。
位相空間が最短になる問題
光のモードの状態は、多くの場合 Gauss 型(コヒーレント状態・スクイーズド状態・熱的な光)で、その時間発展も2次のハミルトニアンと損失で書くことができる。このとき位相空間の は Gauss 関数のまま動き、平均と共分散の時間発展だけを追えば済む。損失は を原点へ縮めて真空の Gauss 関数でならす操作で(第5部第6章)、共分散について1行の式になる。ホモダイン検出が測る直交位相の分布は の周辺分布で、測定の結果と が直接つながる。
位相空間の苦手は、状態や時間発展が Gauss 型から外れるときに出る。猫状態や Fock 状態の は負の値を持ち、負の値の領域の積分は確率として読めない(第5部第4章)。多モードの非 Gauss 状態、2次でないハミルトニアン、有限次元の系、フェルミ粒子では、 積の計算が重くなるか、位相空間そのものが定まらない(第5部第6章)。非 Gauss の状態に損失がかかる問題は、Fock 基底の密度行列と位相空間の両方を使うと見通しがよい。7節の総合問題で奇の猫状態を例にこれを扱う。
例題 11.2.3 スクイーズド光の損失を2つの構成で ★★★
オリジナル真空の直交位相の分散を と書く。 の分散が (10 dB のスクイーズ)、 の分散が のスクイーズド真空が、透過率 の損失(10% の損失)を受ける。
- (1) (位相空間)損失を透過率 の半透明の鏡で真空のモード と混ぜる模型で書き、損失のあとの と の分散を求めよ。dB で表せ。
- (2) (密度行列)同じ問題を Fock 基底で解くとき、光子数の分布の裾を 未満にするのに要る最大の光子数と、打ち切った密度行列の実数の個数を求めよ。
- (3) 振幅減衰の Kraus 表示を Fock 基底で当てて (1) の答えを確かめよ。
解答
(1) 半透明の鏡を通ったあとのモードは で、 は真空にある。直交位相も同じ1次結合になり、 と の相関は無いので
になる。 なので、10 dB のスクイーズは 10% の損失で dB まで減る。位相空間では が Gauss 関数のまま縮んでならされるので、平均(0)と共分散の3つの数だけを追えばよい。この模型は近似を含まない。Lindblad 方程式の振幅減衰で書けば と置いたものと同じになる。
(2) スクイーズド真空は偶数の光子数だけを持ち、()で
である。光子数 60 までを入れると裾が を下回り、損失のあとは奇数の光子数にも確率が移るので の 61 準位が要る。打ち切った密度行列の実数は 個である。
(3) 振幅減衰の Kraus 演算子 を、160 準位に打ち切った Fock 基底で と当てると、 の分散は から へ、 の分散は になり、(1) と一致する。同じ答えを出すのに、位相空間は2行の式、密度行列は数千の成分の行列の計算を要した。Gauss 型の光の問題で位相空間を選ぶ理由はこの手数の差にある。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの 結合の強さ 、 一定(共振器の損失を Markov な振幅減衰で書く。半透明の鏡の模型そのものは近似なし) | 証明 条件付き(弱結合の van Hove 極限。環境の相関関数が時間について可積分で、永年近似を含む。Davies 1974 の定理。前提は第4部第5章の札と同じ) | 行き先 近似の数理 第14章
木下の勉強ステータス
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