解答
(1) ϕB=0.02585ln(5.0×105)=0.02585×13.12=0.339V である。2ϕB=0.678V から
xd,max=1.602×10−19×5.0×10212×1.036×10−10×0.678m=4.19×10−7m,∣Qdep∣=eNAxd,max=3.36×10−4Cm−2
で、Cox=3.453×10−11/5.0×10−8=6.91×10−4Fm−2 である。∣Qdep∣/Cox=0.486V なので Vth−VFB=0.678+0.486=1.164V になる。ドープ量が例題 4.9.2 の20分の1でも、酸化膜が5倍厚いので空乏層の部分の電圧はほぼ同じである。
(2) ns=Cox(VG−Vth)/e=6.91×10−4×5.0/1.602×10−19=2.16×1016m−2 である。式 (4.9.19) の D2=1.59×1018eV−1m−2 で割って μ−ε1=13.6meV を得る。平均の電場は Eeff=(3.36×10−4+1.726×10−3)/1.036×10−10=1.99×107Vm−1 で、式 (4.9.18) の係数は(ℏ2/(2ml))1/3(eEeff)2/3=25.4meV になる。したがって ε1=25.4×2.338=59.5meV、ε2−ε1=25.4×(4.088−2.338)=44.5meV、ε1′−ε1=25.4×2.338×(1.690−1)=41.0meV である。どちらも μ−ε1=13.6meV より大きく、kBT=0.36meV よりはるかに大きいので、電子はいちばん下のサブバンドだけにいる。平均の電場に電子の電荷の半分を入れたのは、電子の層の表面側では電場が (∣Qdep∣+ens)/(ε0εrs)、奥側では ∣Qdep∣/(ε0εrs) で、電子はその間にいるからである。
(3) σ□=1.602×10−19×2.16×1016×1.0=3.45×10−3S で、面抵抗は 1/σ□=290Ω である。Drude の式 μe=eτ/mt と ωc=eB/mt から ωcτ=μeB=8.0 である。電子は散乱される前に円軌道を1周以上回るので、Landau 準位が散乱でぼやけずに分かれる。
(4) eB/h=1.602×10−19×8.0/6.626×10−34=1.93×1015m−2 で、ν=2.16×1016/1.93×1015=11.1 である。ΔVG=e⋅(eB/h)/Cox=1.602×10−19×1.93×1015/6.91×10−4=0.449V なので、ν=4 は VG−Vth=4×0.449=1.80V で、Hall 抵抗の平らな値は h/(4e2)=6453Ω である。ν=4 は、N=0 の Landau 準位のスピンと谷の4つが詰まった所で、次の準位との隙間は ℏωc=ℏeB/mt=4.87meV である。これは kBT=0.36meV の13倍で、隙間を越える熱励起は e−13 の程度に抑えられる。
(5) (1) の xd,max・∣Qdep∣・Vth は空乏近似と平均の場(一様に均したアクセプター)に依存する。(2) の ns=Cox(VG−Vth)/e はコンデンサーの式で、Vth を実測で決めればほとんど近似に依存しない(量子化による ε1 の分は Vth の実測値に含まれる)が、εj と Eeff は三角形の井戸と有効質量の近似に依存する。(3) の σ□ は一定の移動度という C 型の近似(4.9.5節の5枚目の札)に依存し、μe は測るしかない。(4) の ν と ΔVG は ns と状態の数 eB/h だけで決まる。Hall 抵抗の平らな値 h/(νe2) は、どの近似の札にも依存せず、h と e だけで決まる。この値がなぜ乱れのある試料で正確に出るのかは、第4部第4章と第5部第5章で扱う。