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この章のまとめ

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第9章 MOS 構造とトランジスタの原理

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部 第9章 §4.9.7 ★★ MOS 構造は、ゲートの電圧で表面のバンドを曲げて電子の数を変えるコンデンサーである。しきい値を越えた電圧は CoxC_{\mathrm{ox}} を通じて反転層の電子になり、その電子は MOSFET の電流を運び、低温では2次元電子系になる

この章では、有効質量のバンドに静電ポテンシャルを足した H^\hat H (4.9.1) を選び、その静電ポテンシャルを電荷から Poisson 方程式で決めた。平衡では化学ポテンシャルが一定なので、電子と正孔の数は局所の電位の Boltzmann 因子になる(第1節)。Poisson–Boltzmann 方程式の第一積分で、半導体の電荷が表面の電位の関数として厳密に書け、蓄積・空乏・反転の3つの領域が出た。表面の電位は反転で 2ϕB2\phi_{\mathrm B} の近くに止まり、しきい値電圧は「バンドを 2ϕB2\phi_{\mathrm B} 曲げる電圧」と「空乏層の電荷を酸化膜に載せる電圧」の和になった(第2節)。チャネルに沿った電位がゆっくり変わるとすると、MOSFET の電流は VDV_{\mathrm D} の2次式で増えたのちピンチオフで飽和し、しきい値の下では拡散の電流が eeVG/(ηkBT)\mathrm{e}^{eV_{\mathrm G}/(\eta k_{\mathrm B} T)} で変わる。その傾きには kBTln⁡10/ek_{\mathrm B} T\ln10/e という温度で決まる下限がある(第3節)。反転層の電子は三角形の井戸で縦の運動が量子化され、Si では幅 2 nm2\,\mathrm{nm} ほどの2次元電子系になる。磁場の中では、ゲートの電圧で Landau 準位の充填率を掃くことができる(第4節)。これらの結果は有効質量・平均の場・空乏近似・緩やかなチャネル・一定の移動度の上に立っていて、反転層の中では局所の Boltzmann 因子を使うことができない(第5節)。容量の測定と電流の測定で、doxd_{\mathrm{ox}}・NAN_{\mathrm A}・VthV_{\mathrm{th}}・μe\mu_{\mathrm e}・η\eta を読み取ることができる(第6節)。

この章は第4部の最後の章である。次の第5部第1章では、この章の Debye の遮蔽長 (4.9.5) と同じ仕組みを縮退した金属の電子で考え(Thomas–Fermi の遮蔽)、相互作用する電子がなぜ独立な粒子のように扱えるのかを調べる。2次元電子系の Hall 伝導度がなぜ整数で量子化されるのかは、第5部第5章で Berry 曲率の言葉で扱う。

総合問題 MOS の反転層で量子 Hall 効果の準備をする ★★★

オリジナルp 型の Si(NA=5.0×1021 m−3N_{\mathrm A}=5.0\times10^{21}\,\mathrm{m^{-3}}、ni=1.0×1016 m−3n_{\mathrm i}=1.0\times10^{16}\,\mathrm{m^{-3}}、εrs=11.7\varepsilon_{\mathrm{rs}}=11.7)に、厚さ dox=50 nmd_{\mathrm{ox}}=50\,\mathrm{nm}(εro=3.9\varepsilon_{\mathrm{ro}}=3.9)の酸化膜を付けた MOSFET を、低温で2次元電子系の測定に使う。表面は (100) 面で、ml=0.916 mm_{\mathrm l}=0.916\,m、mt=0.190 mm_{\mathrm t}=0.190\,m、谷の数 gv=2g_{\mathrm v}=2 とする。

  1. (1) 室温で ϕB\phi_{\mathrm B}・xd,maxx_{\mathrm{d,max}}・∣Qdep∣\lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert・CoxC_{\mathrm{ox}} と Vth−VFBV_{\mathrm{th}}-V_{\mathrm{FB}} を求めよ。(使う道具:4.9.1節・4.9.2節、第2部第7章の真性キャリア密度、第4部第5章の空乏層)
  2. (2) 4.2 K4.2\,\mathrm K で VG−Vth=5.0 VV_{\mathrm G}-V_{\mathrm{th}}=5.0\,\mathrm V とする(低温で測った VthV_{\mathrm{th}} を基準にし、空乏層の電荷は (1) の値のまま止まっているとする)。電子の面密度 nsn_{\mathrm s} と絶対零度の μ−ε1\mu-\varepsilon _1 を求めよ。電子が感じる平均の電場を Eeff=(∣Qdep∣+ens/2)/(ε0εrs)E_{\mathrm{eff}}=(\lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert +en_{\mathrm s}/2)/(\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm{rs}}) とし、三角形の井戸で ε2−ε1\varepsilon _2-\varepsilon _1 と ε1′−ε1\varepsilon _1'-\varepsilon _1 を求めて、電子がいちばん下のサブバンドだけにいることを確かめよ。(使う道具:4.9.4節、第2部第6章の状態の数え方)
  3. (3) 移動度を μe=1.0 m2 V−1 s−1\mu_{\mathrm e}=1.0\,\mathrm{m^2\,V^{-1}\,s^{-1}} とする。磁場が無いときの面の伝導度 σ□=ensμe\sigma_\square=en_{\mathrm s}\mu_{\mathrm e} と面抵抗、B=8.0 TB=8.0\,\mathrm T での ωcτ=μeB\omega_{\mathrm c}\tau=\mu_{\mathrm e}B を求めよ。(使う道具:4.9.3節、第4部第2章の Drude の式と移動度)
  4. (4) B=8.0 TB=8.0\,\mathrm T で、充填率 ν\nu、ν\nu を1変えるのに要る ΔVG\Delta V_{\mathrm G}、ν=4\nu=4 になる VG−VthV_{\mathrm G}-V_{\mathrm{th}} と、そのときの Hall 抵抗の平らな値を求めよ。ℏωc\hbar\omega_{\mathrm c} を 4.2 K4.2\,\mathrm K の kBTk_{\mathrm B} T と比べよ。(使う道具:4.9.4節、第4部第4章の Landau 準位)
  5. (5) (1)〜(4) の数値のうち、この章の近似(空乏近似・三角形の井戸と有効質量・一定の移動度)に依存するものと、依存しないものを分けよ。(使う道具:4.9.5節の札)
解答

(1) ϕB=0.02585ln⁡(5.0×105)=0.02585×13.12=0.339 V\phi_{\mathrm B}=0.02585\ln(5.0\times10^{5})=0.02585\times13.12=0.339\,\mathrm V である。2ϕB=0.678 V2\phi_{\mathrm B}=0.678\,\mathrm V から

xd,max=2×1.036×10−10×0.6781.602×10−19×5.0×1021 m=4.19×10−7 m,∣Qdep∣=eNAxd,max=3.36×10−4 C m−2\begin{gathered}x_{\mathrm{d,max}}=\sqrt{\frac{2\times1.036\times10^{-10}\times0.678}{1.602\times10^{-19}\times5.0\times10^{21}}}\,\mathrm m=4.19\times10^{-7}\,\mathrm m,\\ \lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert =eN_{\mathrm A}x_{\mathrm{d,max}}=3.36\times10^{-4}\,\mathrm{C\,m^{-2}}\end{gathered}

で、Cox=3.453×10−11/5.0×10−8=6.91×10−4 F m−2C_{\mathrm{ox}}=3.453\times10^{-11}/5.0\times10^{-8}=6.91\times10^{-4}\,\mathrm{F\,m^{-2}} である。∣Qdep∣/Cox=0.486 V\lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert /C_{\mathrm{ox}}=0.486\,\mathrm V なので Vth−VFB=0.678+0.486=1.164 VV_{\mathrm{th}}-V_{\mathrm{FB}}=0.678+0.486=1.164\,\mathrm V になる。ドープ量が例題 4.9.2 の20分の1でも、酸化膜が5倍厚いので空乏層の部分の電圧はほぼ同じである。

(2) ns=Cox(VG−Vth)/e=6.91×10−4×5.0/1.602×10−19=2.16×1016 m−2n_{\mathrm s}=C_{\mathrm{ox}}(V_{\mathrm G}-V_{\mathrm{th}})/e=6.91\times10^{-4}\times5.0/1.602\times10^{-19}=2.16\times10^{16}\,\mathrm{m^{-2}} である。式 (4.9.19) の D2=1.59×1018 eV−1 m−2D_2=1.59\times10^{18}\,\mathrm{eV^{-1}\,m^{-2}} で割って μ−ε1=13.6 meV\mu-\varepsilon _1=13.6\,\mathrm{meV} を得る。平均の電場は Eeff=(3.36×10−4+1.726×10−3)/1.036×10−10=1.99×107 V m−1E_{\mathrm{eff}}=(3.36\times10^{-4}+1.726\times10^{-3})/1.036\times10^{-10}=1.99\times10^7\,\mathrm{V\,m^{-1}} で、式 (4.9.18) の係数は(ℏ2/(2ml))1/3(eEeff)2/3=25.4 meV(\hbar^2/(2m_{\mathrm l}))^{1/3}(eE_{\mathrm{eff}})^{2/3}=25.4\,\mathrm{meV} になる。したがって ε1=25.4×2.338=59.5 meV\varepsilon _1=25.4\times2.338=59.5\,\mathrm{meV}、ε2−ε1=25.4×(4.088−2.338)=44.5 meV\varepsilon _2-\varepsilon _1=25.4\times(4.088-2.338)=44.5\,\mathrm{meV}、ε1′−ε1=25.4×2.338×(1.690−1)=41.0 meV\varepsilon _1'-\varepsilon _1=25.4\times2.338\times(1.690-1)=41.0\,\mathrm{meV} である。どちらも μ−ε1=13.6 meV\mu-\varepsilon _1=13.6\,\mathrm{meV} より大きく、kBT=0.36 meVk_{\mathrm B} T=0.36\,\mathrm{meV} よりはるかに大きいので、電子はいちばん下のサブバンドだけにいる。平均の電場に電子の電荷の半分を入れたのは、電子の層の表面側では電場が (∣Qdep∣+ens)/(ε0εrs)(\lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert +en_{\mathrm s})/(\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm{rs}})、奥側では ∣Qdep∣/(ε0εrs)\lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert /(\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm{rs}}) で、電子はその間にいるからである。

(3) σ□=1.602×10−19×2.16×1016×1.0=3.45×10−3 S\sigma_\square=1.602\times10^{-19}\times2.16\times10^{16}\times1.0=3.45\times10^{-3}\,\mathrm S で、面抵抗は 1/σ□=290 Ω1/\sigma_\square=290\,\Omega である。Drude の式 μe=eτ/mt\mu_{\mathrm e}=e\tau/m_{\mathrm t} と ωc=eB/mt\omega_{\mathrm c}=eB/m_{\mathrm t} から ωcτ=μeB=8.0\omega_{\mathrm c}\tau=\mu_{\mathrm e}B=8.0 である。電子は散乱される前に円軌道を1周以上回るので、Landau 準位が散乱でぼやけずに分かれる。

(4) eB/h=1.602×10−19×8.0/6.626×10−34=1.93×1015 m−2eB/h=1.602\times10^{-19}\times8.0/6.626\times10^{-34}=1.93\times10^{15}\,\mathrm{m^{-2}} で、ν=2.16×1016/1.93×1015=11.1\nu=2.16\times10^{16}/1.93\times10^{15}=11.1 である。ΔVG=e⋅(eB/h)/Cox=1.602×10−19×1.93×1015/6.91×10−4=0.449 V\Delta V_{\mathrm G}=e\cdot(eB/h)/C_{\mathrm{ox}}=1.602\times10^{-19}\times1.93\times10^{15}/6.91\times10^{-4}=0.449\,\mathrm V なので、ν=4\nu=4 は VG−Vth=4×0.449=1.80 VV_{\mathrm G}-V_{\mathrm{th}}=4\times0.449=1.80\,\mathrm V で、Hall 抵抗の平らな値は h/(4e2)=6453 Ωh/(4e^2)=6453\,\Omega である。ν=4\nu=4 は、N=0N=0 の Landau 準位のスピンと谷の4つが詰まった所で、次の準位との隙間は ℏωc=ℏeB/mt=4.87 meV\hbar\omega_{\mathrm c}=\hbar eB/m_{\mathrm t}=4.87\,\mathrm{meV} である。これは kBT=0.36 meVk_{\mathrm B} T=0.36\,\mathrm{meV} の13倍で、隙間を越える熱励起は e−13\mathrm{e}^{-13} の程度に抑えられる。

(5) (1) の xd,maxx_{\mathrm{d,max}}・∣Qdep∣\lvert Q_{\mathrm{dep}}\rvert・VthV_{\mathrm{th}} は空乏近似と平均の場(一様に均したアクセプター)に依存する。(2) の ns=Cox(VG−Vth)/en_{\mathrm s}=C_{\mathrm{ox}}(V_{\mathrm G}-V_{\mathrm{th}})/e はコンデンサーの式で、VthV_{\mathrm{th}} を実測で決めればほとんど近似に依存しない(量子化による ε1\varepsilon _1 の分は VthV_{\mathrm{th}} の実測値に含まれる)が、εj\varepsilon _j と EeffE_{\mathrm{eff}} は三角形の井戸と有効質量の近似に依存する。(3) の σ□\sigma_\square は一定の移動度という C 型の近似(4.9.5節の5枚目の札)に依存し、μe\mu_{\mathrm e} は測るしかない。(4) の ν\nu と ΔVG\Delta V_{\mathrm G} は nsn_{\mathrm s} と状態の数 eB/heB/h だけで決まる。Hall 抵抗の平らな値 h/(νe2)h/(\nu e^2) は、どの近似の札にも依存せず、hh と ee だけで決まる。この値がなぜ乱れのある試料で正確に出るのかは、第4部第4章と第5部第5章で扱う。

木下の勉強ステータス

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