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何を削ったか・何の実験の量で確かめるか・授業で習った形との対応

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第1章 遮蔽と Fermi 液体
目次
  1. 削ったもの
  2. 何の実験の量で確かめるか
  3. 授業で習った形との対応
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部 第1章 §5.1.6 ★★ RPA は誘起された電荷の交換と相関を、ジェリウムはイオンを削った。イオンを戻すと、遮蔽されたイオンの振動が音響フォノンになる。遮蔽・プラズモン・Fermi 液体はそれぞれ電子線の損失・中性子・STM・比熱と磁化率で確かめられる

削ったもの

1つめは誘起された電荷の交換と相関である。RPA の仮定 (5.1.7) では、電子は平均の場 ϕ\phi に独立に応える。実際には、ある電子のまわりには交換孔と相関孔があり、その電子が感じる場は平均の場より弱い。この効果を入れるには εr\varepsilon _{\mathrm r} の vqv_{\bm{q}} に補正因子(局所場の補正)を掛ける。Gell-Mann と Brueckner は、高い密度の極限rs/a0→0r_{\mathrm s}/a_0\to0 で、RPA で基底エネルギーの相関の部分の主要項が正しく得られることを示した(M. Gell-Mann and K. A. Brueckner (1957), Phys. Rev. 106, 364)。これは摂動級数の最も発散の強い項を全部の次数で足し上げた結果で、金属の密度 rs/a0=2r_{\mathrm s}/a_0=2〜66 はこの極限から遠い。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの rs/a0→0r_{\mathrm s}/a_0\to0(高い密度。Coulomb エネルギーが運動エネルギーに比べて小さい) | 証明 要確認(Gell-Mann–Brueckner は摂動級数の主要項の再和としての結果。誤差の大きさを定理として評価した原論文は確かめていない) | 行き先 近似の数理 第6章・近似の数理 第13章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの q/kF→0q/k_{\mathrm F}\to0(ポテンシャルの変化が Fermi 波長に比べてゆっくり。Thomas–Fermi) | 証明 証明済み(RPA の中では Lindhard 関数の極限 L(0)=1L(0)=1 として本文で示した。RPA そのものの正しさは上の札) | 行き先 近似の数理 第6章

2つめはイオンの周期ポテンシャルと運動である。周期ポテンシャルを戻すと、εr\varepsilon _{\mathrm r} は q\bm{q} と q+G\bm{q}+\bm{G} を混ぜる行列になり、バンドの間の遷移が εr(ω)\varepsilon _{\mathrm r}(\omega) に加わる(第4部第6章)。イオンの運動を戻すと、イオンもまた電荷を持つ粒子の気体で、それ自身のプラズマ振動数 Ωp2=nion(Ze)2/(ε0M)\Omega_{\mathrm p}^2=n_{\mathrm{ion}}(Ze)^2/(\varepsilon _0M) を持つ(ZZ はイオンの価数、MM はその質量)。ただしイオンはゆっくり動くので、電子はその動きに追いついて静的に遮蔽する。イオンの振動数は Ωp2/εr(q,0)\Omega_{\mathrm p}^2/\varepsilon _{\mathrm r}(q,0) になり、Thomas–Fermi の εr≈qTF2/q2\varepsilon _{\mathrm r}\approx q_{\mathrm{TF}}^2/q^2(q≪qTFq\ll q_{\mathrm{TF}})を入れると ω=(Ωp/qTF)q\omega=(\Omega_{\mathrm p}/q_{\mathrm{TF}})q と、波数に比例する音波になる。その速さは

vs=ΩpqTF=Zm3M vF(5.1.22)v_{\mathrm s}=\frac{\Omega_{\mathrm p}}{q_{\mathrm{TF}}}=\sqrt{\frac{Zm}{3M}}\,v_{\mathrm F}\tag{5.1.22}

である(Bohm–Staver の関係)。裸のイオンの気体のプラズマ振動が、電子の遮蔽によって音響フォノン(第3部第1章)に変わる。同じ遮蔽されたイオンの振動を介して、電子どうしには遮蔽された Coulomb の斥力と、フォノンを交換する引力が同時に働く。後者が勝つ低いエネルギーの領域で電子は対を作る(第5部第4章)。

3つめはFermi 液体であること自体である。断熱接続は、途中で相転移が起きないことを仮定した。1次元の電子は、どれほど弱い相互作用でも Fermi 液体にならない(準粒子の代わりに電荷とスピンの集団運動が残る。Tomonaga–Luttinger 液体)。2次元・3次元でも、超伝導や磁性への不安定性(F0a→−1F^{\mathrm a}_0\to-1 など)の近くでは準粒子の描像が破れる。Fermi 液体が数学として証明されているのは限られた場合だけである。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの Fermi 面の近くの励起だけを残すくりこみ群(ξ/εF→0\xi/\varepsilon _{\mathrm F}\to0・kBT/εF→0k_{\mathrm B} T/\varepsilon _{\mathrm F}\to0) | 証明 条件付き(2次元で、Fermi 面が強く凸で k→−k\bm{k}\to-\bm{k} の反転について対称でなく、相互作用が短距離で弱い場合に、絶対零度の摂動展開が収束することが証明されている〔J. Feldman, H. Knörrer, E. Trubowitz の連作 A Two Dimensional Fermi Liquid。第1部は Commun. Math. Phys. 247, 1 (2004)〕。長距離の Coulomb 相互作用・3次元・一般の Fermi 面では未解決) | 行き先 近似の数理 第13章

何の実験の量で確かめるか

プラズモンは、薄い金属の膜を通り抜けた電子のエネルギーの損失として見える。例題 5.1.4 のアルミニウムの 15.3 eV15.3\,\mathrm{eV} がその例で、同じ測定では表面のプラズモン(ωp/2\omega_{\mathrm p}/\sqrt2 に近い)も見える。損失の角度を変えると q\bm{q} が変わり、分散 (5.1.15) と Landau 減衰で鋭い損失が消えていく様子を測ることができる。

Kohn 異常は、中性子の非弾性散乱で測ったフォノンの分散に、q=2kFq=2k_{\mathrm F} に当たる位置の小さな折れ曲がりとして見える。鉛のフォノンの分散でこの折れ曲がりが見つかり、その位置がほぼ自由な電子の Fermi 面から予想される位置とよく合うことが報告されている(B. N. Brockhouse, T. Arase, G. Caglioti, K. R. Rao, A. D. B. Woods (1962), Phys. Rev. 128, 1099)。

Friedel 振動は、走査トンネル顕微鏡(第4部第7章)で表面の電子の局所的な状態密度を写すと、表面の段差や吸着原子のまわりの同心円の縞として直接見える。銅の (111) 面の表面に束縛された2次元の電子の定在波がその例である(M. F. Crommie, C. P. Lutz, D. M. Eigler (1993), Nature 363, 524)。

Fermi 液体の数は、低温の比熱の γ\gamma から m∗/mm^*/m を、スピンの磁化率(Knight シフトや伝導電子のスピン共鳴)から 1+F0a1+F^{\mathrm a}_0 を読む。2つを組み合わせた Wilson 比が(5.1.21) の量である。準粒子どうしの散乱による電気抵抗は式 (5.1.17) の T2T^2 に従う(運動量を格子に渡す Umklapp の散乱が要る)。液体の 3He{}^3\mathrm{He} は格子もイオンも無い中性の Fermi 粒子の系で、比熱・磁化率・音速から Landau パラメータが一通り決められ、Landau の理論が最初に確かめられた対象である。

例題 5.1.6 銅の電子どうしの散乱の時間 ★★

オリジナル銅(εF=7.03 eV\varepsilon _{\mathrm F}=7.03\,\mathrm{eV})で、式 (5.1.17) の係数を 11 として準粒子の寿命を見積もる。

  1. (1) 300 K300\,\mathrm K で Fermi 面の上の準粒子(ξ=0\xi=0)の ℏ/τ\hbar/\tau と τ\tau を求めよ。
  2. (2) 第4部第2章の室温の銅の緩和時間 τ=2.49×10−14 s\tau=2.49\times10^{-14}\,\mathrm s と比べ、室温の電気抵抗に電子どうしの散乱が重要かどうかを述べよ。
  3. (3) 光電子分光で ξ=1 eV\xi=1\,\mathrm{eV} の状態を見るとき、ℏ/τ\hbar/\tau と ξ\xi の比を求め、準粒子の描像が成り立つかを述べよ。
解答

(1) πkBT=π×0.02585 eV=0.0812 eV\pi k_{\mathrm B} T=\pi\times0.02585\,\mathrm{eV}=0.0812\,\mathrm{eV}、ℏ/τ=0.08122/7.03=9.4×10−4 eV\hbar/\tau=0.0812^2/7.03=9.4\times10^{-4}\,\mathrm{eV}、τ=ℏ/(9.4×10−4 eV)=7.0×10−13 s\tau=\hbar/(9.4\times10^{-4}\,\mathrm{eV})=7.0\times10^{-13}\,\mathrm s。

(2) 7.0×10−13/2.49×10−14=287.0\times10^{-13}/2.49\times10^{-14}=28 で、電子どうしの散乱はフォノンによる散乱より30倍ほど遅い。しかも電子どうしの散乱は全体の運動量を保存するので、Umklapp でなければ電流を減らさない。室温の抵抗はフォノンで決まり、電子どうしの散乱は T2T^2 の小さな補正として極低温で現れるだけである。

(3) ℏ/τ≈ξ2/εF=1/7.03=0.14 eV\hbar/\tau\approx\xi^2/\varepsilon _{\mathrm F}=1/7.03=0.14\,\mathrm{eV}((πkBT)2(\pi k_{\mathrm B} T)^2 は ξ2\xi^2 の 0.7%0.7\% で無視できる)。ξ\xi の 1/71/7 で、スペクトルの山の幅は位置より小さく、準粒子を見分けることができる。ξ\xi を Fermi 準位に近づけるほど比 ξ/εF\xi/\varepsilon _{\mathrm F} は小さくなり、準粒子の山は鋭くなる。

授業で習った形との対応

学部の固体物理の授業では、Thomas–Fermi の遮蔽を次のように導くことが多い。静電ポテンシャル ϕ(r)\phi(\bm{r}) の中で、電子の電気化学ポテンシャルが一定に保たれるとすると、各点の局所的な化学ポテンシャルは μ+eϕ(r)\mu+e\phi(\bm{r}) で、電子の密度は n0+D(εF)eϕn_0+D(\varepsilon _{\mathrm F})e\phi になる。これを Poisson 方程式に入れると

∇2ϕ=qTF2ϕ−ρextε0,qTF2=e2D(εF)ε0(5.1.23)\nabla^2\phi=q_{\mathrm{TF}}^2\phi-\frac{\rho_{\mathrm{ext}}}{\varepsilon _0},\qquad q_{\mathrm{TF}}^2=\frac{e^2D(\varepsilon _{\mathrm F})}{\varepsilon _0}\tag{5.1.23}

を得る。この章の式 (5.1.9) の (5.1.6) を実空間で書いたものである。「各点で局所的に平衡」という仮定が q≪kFq\ll k_{\mathrm F} の近似に当たり、Lindhard 関数はその仮定を外したものである。

同じ形は、電解質溶液やプラズマ・半導体の Debye–Hückel の遮蔽にも出る。違いは ∂n/∂μ\partial n/\partial\mu だけで、縮退していない(古典の)電子では n∝eμ/kBTn\propto\mathrm{e}^{\mu/ k_{\mathrm B} T} から ∂n/∂μ=n/(kBT)\partial n/\partial\mu=n/( k_{\mathrm B} T)、遮蔽長は λD=ε0kBT/(ne2)\lambda_{\mathrm D}=\sqrt{\varepsilon _0 k_{\mathrm B} T/(ne^2)} になる。縮退した電子では ∂n/∂μ=D(εF)\partial n/\partial\mu=D(\varepsilon _{\mathrm F}) で、kBTk_{\mathrm B} T の代わりに εF\varepsilon _{\mathrm F} 程度のエネルギーが入る。どちらも「q2=(e2/ε0) ∂n/∂μq^2=(e^2/\varepsilon _0)\,\partial n/\partial\mu」の1本の式で、第4部第2章の伝導度と拡散係数の関係 σ=e2(∂n/∂μ)D\sigma=e^2(\partial n/\partial\mu)D と同じ ∂n/∂μ\partial n/\partial\mu が現れる。

プラズマ振動は、授業では電子全体を変位 xx だけずらした板を考え、表面に現れる電荷 ±nex\pm nex の電場 nex/ε0nex/\varepsilon _0 が復元力になるとして mx¨=−(ne2/ε0)xm\ddot x=-(ne^2/\varepsilon _0)x から ωp\omega_{\mathrm p} を導く。この章では εr(q,ω)\varepsilon _{\mathrm r}(q,\omega) の零点として同じものが出て、さらに qq を変えたときの分散と、粒子–正孔の連続帯へ入って減衰することまで分かる。

例題 5.1.7 半導体と金属の遮蔽長を比べる ★

オリジナル

  1. (1) 第4部第5章の例題で、Si(比誘電率 11.711.7)の中の縮退していない電子(n=1022 m−3n=10^{22}\,\mathrm{m^{-3}}、300 K300\,\mathrm K)の Debye 長を λD=41 nm\lambda_{\mathrm D}=41\,\mathrm{nm} と求めた。これを例題 5.1.3 の銅の 1/qTF1/q_{\mathrm{TF}} と比べよ。
  2. (2) 銅の伝導電子を仮に古典の気体とみなした Debye 長を 300 K300\,\mathrm K で求め、例題 5.1.3 の 1/qTF1/q_{\mathrm{TF}} と比べよ。比を εF\varepsilon _{\mathrm F} と kBTk_{\mathrm B} T で書け。
解答

(1) 第4部第5章の値 λD=4.09×10−8 m\lambda_{\mathrm D}=4.09\times10^{-8}\,\mathrm m を銅の 1/qTF=5.52×10−11 m1/q_{\mathrm{TF}}=5.52\times10^{-11}\,\mathrm m で割ると 7.4×1027.4\times10^2 で、Si の遮蔽長は銅の約 740 倍長い。ドープした半導体の遮蔽長は格子定数(0.54 nm0.54\,\mathrm{nm})の数十倍で、不純物の Coulomb ポテンシャルは長距離に及ぶ。金属では同じポテンシャルが格子間隔より短い距離で消える。

(2) λD=ε0kBT/(ne2)=4.1×10−12 m\lambda_{\mathrm D}=\sqrt{\varepsilon _0 k_{\mathrm B} T/(ne^2)}=4.1\times10^{-12}\,\mathrm m で、1/qTF=5.52×10−11 m1/q_{\mathrm{TF}}=5.52\times10^{-11}\,\mathrm m の 1/13.51/13.5 である。比は 1/qTFλD=n/(kBT)3n/(2εF)=2εF3kBT=13.5\frac{1/q_{\mathrm{TF}}}{\lambda_{\mathrm D}}=\sqrt{\frac{n/( k_{\mathrm B} T)}{3n/(2\varepsilon _{\mathrm F})}}=\sqrt{\frac{2\varepsilon _{\mathrm F}}{3 k_{\mathrm B} T}}=13.5。縮退した電子は Pauli の原理のために Fermi 準位の近くの D(εF)kBTD(\varepsilon _{\mathrm F}) k_{\mathrm B} T 程度しか動けず、古典の気体より遮蔽が弱い。それでも金属の遮蔽長は格子間隔より短い。

木下の勉強ステータス

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