解答
(1) ⟨1∣x^∣2⟩=L2∫0LxsinLπxsinL2πxdx。sinasinb=21[cos(a−b)−cos(a+b)] と ∫0LxcosLkπxdx=k2π2L2((−1)k−1) から
⟨1∣x^∣2⟩=L1[π2L2(−2)−9π2L2(−2)]=−9π216L=−0.180L.
ξ=x−L/2 と中心から測ると、ψn は n が奇数なら ξ について偶、偶数なら奇である(ψ1∝cos(πξ/L)、ψ2∝sin(2πξ/L))。⟨1∣x^∣3⟩=⟨1∣ξ^∣3⟩+2L⟨1∣3⟩ で、第2項は直交性から 0、第1項は偶・奇・偶の積の積分なので 0。偶奇が同じ状態の間の遷移は禁止され、許されるのは n の偶奇が変わる遷移だけである。4.12.4節の反転の議論を、箱の中心についての鏡映に当てたものである。
(2) ωn1=(n2−1)E1/ℏ=2meL2(n2−1)π2ℏ を式 (4.12.32) に入れて
fn1=ℏ2me⋅2meL2(n2−1)π2ℏ⋅π4(n2−1)464n2L2=π2(n2−1)364n2(n 偶数),
奇数の n では 0。f21=27π2256=0.961、f41=3375π21024=0.0307、f61=42875π22304=0.00544。総和則(命題 4.12.3)から ∑nfn1=1 で、強さの 96% を最初の遷移 1→2 が持つ(数値で偶数の n を 2×105 まで足すと 1 に収束する)。総和則に要るのは [x^,p^]=iℏ だけで、箱の形によらない。
(3) E1=2×9.109×10−31×(10−9)2π2(1.055×10−34)2=6.02×10−20J=0.376eV、E2−E1=3E1=1.128eV。波長は λ=2πℏc/(3E1)=1.10μm で、近赤外の光になる。
(4) ω21=3E1/ℏ=1.714×1015s−1、∣d21∣=e⋅9π216L=2.89×10−29Cm を式 (4.12.27) に入れて
A=3πε0ℏc3ω213∣d21∣2=1.77×107s−1,A1=56.6ns.
水素の 2p(1.60ns)より35倍長い。双極子の長さ 0.180L=3.4a0 は水素の 0.745a0 より大きいが、A∝ω3 で角振動数が水素の 1/9 なので、A はずっと小さい。300K では ℏω21/(kBT)=1.128/0.02585=43.6 で、nB=1/(e43.6−1)=1.1×10−19。誘導放出は自然放出の 10−19 倍にすぎない。
(5) γcl=6πε0mec3e2ω212=1.84×107s−1。f21γcl=0.961×1.84×107=1.77×107s−1 で (4) の A に一致する。式でも、∣⟨1∣x^∣2⟩∣2=f21ℏ/(2meω21) を式 (4.12.27) に入れると
A=3πε0ℏc3ω213e2⋅2meω21f21ℏ=f216πε0mec3e2ω212=f21γcl
である。γcl は、角振動数 ω21 で振動する古典の電子1個が Larmor の公式に従って放射でエネルギーを失う割合で、4.12.5節で示したとおり調和振動子の A1→0 に一致する。箱の中の電子は、1→2 の遷移について「古典の振動子 0.961 個分」として光を出し入れする。残りの 0.039 個分は 1→4,6,… の遷移に割り振られ、全部を合わせると古典の電子1個になる。