橋:アンサンブルの任意性はほかの構成で何に当たるか
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第4部 第3章 §4.3.6 ★★ アンサンブルの任意性は、基準の側では浄化の相手での測定の選び方、位相空間の側では P 表示が正のときのコヒーレント状態の混合、代数と一般確率論の側では「状態空間が単体でない」ことに当たる
この章の結果が同値性の地図(第1部第1章)のどの橋に乗るかを、それぞれの構成の式で並べる。
基準 ↔ 密度行列:アンサンブル=相手の測定
地図の「状態ベクトル ↔ 密度行列」の橋は、(基準 → 密度行列)と浄化(密度行列 → 基準)の2本でできている(第4部第1章・第2章)。浄化の向きをたどると、密度行列の側の は基準の側の1本の に対応し、その のアンサンブルの選び方は、基準の側では R での測定の選び方に対応する。第4.3.2節・第4.3.3節の対応を1行ずつ並べると次のようになる。
| 密度行列の側 | 基準の側(浄化 の上) |
| アンサンブル 、 | R の POVM |
| 2つのアンサンブルを結ぶユニタリ | R の測定基底の取り替え |
| アンサンブルが区別できない | R の操作で は変わらない (4.3.14) |
| 固有アンサンブル | R の Schmidt 基底での測定 |
基準の側では、R の状態を含めた は1つに決まり、そこには任意性が無い。任意性は「部分系 A だけを見る」という操作で初めて現れる。密度行列の側で同じ に複数のアンサンブルがあることは、基準の側では測定の選び方が複数あることの別名で、どちらの構成も同じ予言をする。
密度行列 ↔ 位相空間:P 表示が正ならコヒーレント状態の混合
第4.3.5節の (4.3.17) は、光の熱状態の Glauber–Sudarshan の P 表示そのものである(この巻の正答表の⑤の形。光学と量子エレクトロニクス 第32章)。一般の を
と書く P 表示は、 のときに限ってコヒーレント状態のアンサンブルとして読める。スクイーズド状態や光子数状態 ()では が負になったり普通の関数で書けなかったりし、コヒーレント状態だけを使ったアンサンブルは存在しない。コヒーレント状態は「最も古典的な純粋状態」なので、P 表示が正の状態は、古典的な波の混合として書ける状態、つまり古典の光である。この判定は第5部第6章(第5部第6章)で W・Q 表示と並べる。ここで大事なのは、P 表示の正負が「コヒーレント状態に限ったアンサンブルの有無」を問うているという点で、アンサンブル一般はどの にも無数にある。
密度行列 ↔ 代数・一般確率論:単体かどうか
第8部の代数的量子論(第8部第1章)は、状態を物理量への期待値の割り当て として定義する。アンサンブルはこの言葉では状態の凸分解 ( は純粋状態)で、この章の結果は「量子の状態空間では純粋状態への凸分解が一意でない」と読める。古典の状態空間は単体で分解が一意だった(第4.3.1節)。第9部の一般確率論(第9部第4章)は、状態空間の形をこの観点で分類し、古典論・量子論・箱世界を並べる。無限自由度の系では、熱平衡状態を純粋な相(秩序の向きが決まった状態)の混合に分ける分解が物理的に特別な意味を持ち、相転移と自発的対称性の破れの定式化につながる(第8部第4章)。
古典の統計力学と学部の授業での書き方
古典の統計力学では、相空間の確率密度 を相空間の点(デルタ関数)に分ける方法は1通りで、「系は本当はある1点にあって、それを知らないだけ」という読み方が常に許される。学部の量子統計の授業では、密度行列を
と導入することが多い。この読み方は古典の確率密度の読み方をそのまま持ち込んだもので、量子では右辺の分け方が無数にあるため、どの に「本当は」あるのかは からは決まらない。情報の側から見ると、アンサンブルの違いは記録 X を伴う状態 (4.3.15) の違いで、記録から A について引き出せる情報量(Holevo 量)を問うときにはアンサンブルの選び方が意味を持つ(相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部第7章)。アンサンブルの任意性そのものは 相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部第1章 でも密度行列の性質の1つとして触れている。
例題 4.3.6 古典ビットと量子ビットで分解の数を比べる ★
オリジナル
- (1) 古典ビットの分布 を、純粋な分布 、 の凸結合 に書く方法が1通りしかないことを示せ。
- (2) 量子ビット について、Z・X・三つ組の3つのアンサンブルのどれでも、任意の向き の の測定で の出る確率が になることを示せ。
木下の勉強ステータス
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