橋の索引(1):基準と主流の5つの構成
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第11部 第1章 §11.1.2 ★★★ 第2〜6部の橋を、どちらの向きをどの定理で示したかと、成り立つ範囲とともに一覧にする
索引の表
表 11.1.1 に、基準と主流の5つの構成をつなぐ橋を、2つの向きと成り立つ範囲に分けて並べた。第1部第1章の表 1.1.4 では置き場の予定だけを書いたが、ここでは示した定理と命題の番号を書く。第2部第6章の表 2.6.1 と第8部第5章の表 8.5.1 も、それぞれの部の中の橋の一覧として使える。
| 橋 | 基準 → 構成 | 構成 → 基準 | 成り立つ範囲 |
| 基準 ↔ 波動関数 | 位置表示 (第1部第3章の命題 1.3.2) | 同じ命題の逆向き( の関数から ) | の位相は並進の条件で定数を除き一意 |
| 行列力学 ↔ 波動力学 | のユニタリ(第1部第4章の命題 1.4.1) | 同じ命題の逆向き | Hermite 関数の完全性 |
| 基準 ↔ 行列力学 | 3つの描像の期待値が一致(第2部第6章の命題 2.6.2)、運動方程式の2つの形の同値(第2部第3章の定理 2.3.4) | Stone の定理で 、Stone–von Neumann の定理で表現が一意(定理 2.6.5・系 2.6.8) | 有限自由度・正則な Weyl 表現 |
| 基準 → 経路積分 | 時間分割と Trotter の積公式(第3部第2章の命題 3.2.2・定理 3.2.1) | 1区間の核の展開で Schrödinger 方程式、Stone と Chernoff(第3部第5章の命題 3.5.3) | が自己共役。逆向きは が実で滑らか |
| 経路積分 ↔ 統計力学 | 下半平面への解析接続と縮小半群の Trotter(第3部第6章の命題 3.6.1) | 対称性・合成則・δ の初期条件から を取り戻す(命題 3.6.3) | が下に有界 |
| 基準 ↔ 密度行列 | (第1部第1章の命題 1.1.1) | 浄化に Q3〜Q6 を当てると (D2)〜(D5)(第4部第2章の定理 4.2.5・4.2.4) | 浄化の補助系の次元が階数以上 |
| 同じ のアンサンブル | アンサンブル=浄化の相手の測定(第4部第3章の定理 4.3.3) | 同じ を与える組はユニタリで移り合う(定理 4.3.1) | 有限次元 |
| 基準 ↔ 量子チャネル | 環境を部分トレースで捨てると Kraus 表示(第4部第5章の定理 4.5.2) | 任意の CPTP 写像は大きな系のユニタリ(同じ定理)、POVM は射影測定(命題 4.5.3) | 初めに系と環境が積の状態 |
| 経路積分 × 密度行列 | 前向きと後ろ向きの2本の経路で (第4部第6章の命題 4.6.1) | 振動子の熱浴の影響汎関数は Gauss 型で厳密(式 (4.6.11)) | 初めの相関なし |
| 密度行列 ↔ 位相空間 | Wigner 変換、トレースの公式(第5部第2章の定理 5.2.5) | 「実数・規格化・純粋状態との重なりが非負」の関数は密度行列(定理 5.2.6) | 1自由度(多自由度も同じ形) |
| 行列力学 ↔ 位相空間 | 積の Weyl 記号は 積(第5部第3章の定理 5.3.2) | Moyal 方程式と Heisenberg・von Neumann 方程式の同値(定理 5.3.5) | の Liouville は近似(2次の で厳密) |
| 第二量子化 ↔ 位相空間 | 順序の期待値を P・W・Q の積分で(第5部第6章の定理 5.6.2) | Fock 空間の と Q の1対1(定理 5.6.4) | 1モード(多モードは同じ形) |
| 行列力学 → 第二量子化 | 場の基準振動の各モードが振動子(第6部第1章の命題 6.1.1) | 粒子1個の部分は基準の1粒子と同じ(同じ命題) | 合流(新しい公理を足さない) |
| 基準 ↔ 第二量子化 | 対称化した空間の直和に を定義(第6部第2章の定理 6.2.2) | 交換関係と巡回的な真空からユニタリ同値(定理 6.2.3)、演算子の書き換え(定理 6.2.4) | 真空を持つ表現(無限体積で外れる) |
| フェルミの Fock ↔ テンソル積 | Jordan–Wigner 変換(第6部第3章の定理 6.3.4) | 同じ定理の逆向き | 有限個のモード |
| 大正準 ↔ 正準 | 大正準を粒子数で切ると正準(第6部第5章の命題 6.5.6) | 正準を の重みで足すと大正準(同じ命題) | 凝縮体の数の揺らぎは正準で計算 |
| 第二量子化 ↔ 経路積分 | コヒーレント状態の完全系で時間分割(第6部第6章の命題 6.6.2) | 再生核で Bargmann 表示の Schrödinger 方程式(同じ命題) | 和の組み方が演算子の順序を決める |
表の読み方
表の第2列と第3列がどちらも埋まっている行が、段階 (i) と (ii) の両向きの橋である。第3列が「同じ命題の逆向き」になっている行は、1つの命題の中で全単射まで示したもので、第3列が別の定理になっている行は、逆向きに別の道具が要った行である。基準と経路積分の間では、基準から経路積分へは Trotter の積公式、経路積分から基準へは Stone の定理と Chernoff の積公式と、使う定理が違う。この違いは、経路積分の測度が実時間では定義できず(第3部第7章)、離散化の極限としてしか扱えないことによる。
第4列の「成り立つ範囲」は、前提を外したときに何が起きるかの索引でもある。Stone–von Neumann の定理の前提「有限自由度」を外すと、交換関係を満たす表現が無数に分かれる(第8部第3章の定理 8.3.5)。「正則な表現」を外すと、区間の運動量のように同じ Heisenberg 方程式が別のスペクトルを持つ(第2部第6章の式 (2.6.8))。第二量子化で「真空を持つ表現」を外すと、無限体積の Bogoliubov 真空や BCS 状態が Fock 空間の外に出る(第6部第7章の式 (6.7.16)・第8部第5章)。
2つの一意性の定理
第2部第6章の Stone–von Neumann の定理(定理 2.6.5)と、第6部第3章の Jordan–Wigner 変換の定理(定理 6.3.4)は、同じ形の主張を持つ。前者は「有限自由度の正準交換関係を満たす既約で正則な表現は Schrödinger 表現だけ」、後者は「有限個のモードの反交換関係の表現は量子ビットのテンソル積と同じで、既約なものは1つ」である。どちらも、交換関係(反交換関係)という代数の規則だけから、ヒルベルト空間とその上の演算子が一意に決まることを言う。違いは証明の道具にある。ボース粒子の は非有界なので、Weyl の関係に直して Gauss 平均の射影 を作る(第2部第6章の補題 2.6.6)。フェルミ粒子の は の有界な演算子なので、 次元の行列として直接扱える(第8部第3章の命題 8.3.6)。どちらの一意性も、モードを無限個にすると成り立たなくなる(第8部第3章)。
例題 11.1.2 3つの部の結果を1つの式で確かめる:振動子の 1/4 周期は Fourier 変換 ★★
オリジナル調和振動子の Mehler 核(共通例題①、第3部第3章の式 (3.3.28))
を使う。
- (1) での を求め、位置表示から運動量表示への Fourier 変換の核(第1部第3章)と比べよ。
- (2) 振動子の固有関数 は Fourier 変換 の固有関数で、固有値は である。(1) の結果と が矛盾しないことを確かめよ。
- (3) (1) を4回合成すると になることを示し、第2部第6章の例題 2.6.5 の結論と比べよ。
解答
(1) 、 なので である。( に負の小さな虚部を足す枝)を使うと
長さを で測って と書くと、右辺は と、 についての Fourier 変換の核 の積になる。運動量表示の核 で とおいたものと同じ形である。1/4 周期の間に、位置の分布が運動量の分布に入れ替わる。
(2) (1) は を意味する。 に当てると で、 の と一致する。零点の は、前の因子 の中にある。 では で、これは数値の積分でも確かめられる。
(3) で、 なので である。第2部第6章では、Stone–von Neumann の定理の系として、交換関係を保つ時間発展は位相を除いて一意で、その位相 の選び方が の定数項(零点)に当たることを示し、 で同じ を得た。同じ結論が、第3部の Gauss 積分(Mehler 核)、第1部の表示の取り替え(Fourier 変換)、第2部の代数(一意性の系)の3つから出る。
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